フィンランド

オープンダイアローグ
精神医療視察

対話の可能性を私たちはどう感じるか
やさしいフィンランドの精神医療を直接学ぶ。
 

2024年2月26日(月)~3月3日(日)
2024年3月11日(月)~17日(日) 日程変更

 
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「開かれた対話」をさらにひも解く
未来語りのダイアローグが生み出す支援者とチームの力

参加者からの声

とても充実した内容でした。研修のやりかた自体がオープンダイアローグ的な感じがして新鮮でした。一般的に研修というと、あらかじめ主催者側が用意した資料に基づいて行われるイメージがあります。たとえば、パワーポイントが映し出されて、それを講師が1枚ずつ説明していくといった感じです。もちろん、どんなふうに今回の研修が行われるかについては、実は想像できていませんでした。フィンランドとオンラインでつなぐというだけでもうまくいくかどうか緊張していましたし、研修への期待が大きく、ドキドキしました。実際には、想像していなかった進め方で、よい意味で驚きました。もちろん事前準備を十分されていると思うのですが、参加するスタッフの即興的なやりとり(に見えた)がとても良かったです。ふだんから、同じ理念・哲学を共有して一緒に働いている人たちならではのハーモニーを感じました。


「自由度」と「信頼度」が違うと思いました。研修のありかた1つとっても予定調和ではない感じがしました。日本において研修と言えば、枠組みからはみ出ないよう統制されている感じがします。講師は間違ったことを言わないよう、あらかじめ準備していますし、参加者もその枠組みの中で質問したりするというか。ケロプダス病院ではスタッフ1人ひとりの判断が信頼されていることがわかりました。チームで協働的に動く場合に、個人の判断とチームや組織の判断との折り合いや決定する責任者というのが日本ではどうしても問題になる(気になる)わけですが、その部分がスムーズになっているような気がしました。
 日本では、チーム医療と言っても、医者を中心とする面がまだ強いと思うし、患者や家族と医者の間にも上下関係ができやすいので、オープンダイアローグを導入しようとしても、専門職間や専門職とクライエント間に存在している非対称性をいかにして対等なものに変えていくのかが難しいところなのではないかと思いました。医療地区といった地域や病院組織の構造や基礎に、対話の哲学を取り入れることが重要ということがわかり、それを実現していく方法について考える必要があると思いました。


 オンラインということで、現地まで行く費用や時間について節約することができたと思います。家庭や仕事があるため、海外まで行くことは容易なことではないので。自宅から受けられるという安心感がありました。


 通訳の方はほんとうに能力が高くて、わかりやすく通訳していただき、ありがたかったです。またアトラスさんがコーディネーターとして進行してくださったのもとても安心感がありました。お話してくださったスタッフのみなさんは、みなさん信頼関係があると感じました。お互いに質問をしあい深めていく様子がとてもよかったです。


オープンダイアローグとは、具体的にどんなことをいうのか、またその理念が実践の中でどう生かされているのかよくわかりました。とくにビデオとそれをもとにした講師の対話を視聴したので、わかりやすかったです。フィンランドと日本の違いについては、精神保健福祉医療システムの政策的な違いが背景にあるかと思いました。ただ私自身の不勉強なこともあり、システムの背景がわかりませんでした。基本的には、日本の既存の精神保健医療福祉の枠組みの中でも、オープンダイアローグは実践可能だと思いました。ただし、今後の取り組みの支障は、日本の医療において医師の権限が大きいこと、診療報酬制度に基づいている点があるとは思います。


本を読むだけではわからないけれど、実際に現地に行くことはコロナ禍でなくとも難しい状況であり、この度はとても貴重な体験をさせていただきました。本当にありがとうございました。現地スタッフ、通訳の方、アトラス様、参加された先生のお顔を拝見しながら、とても温かい時間を過ごすことができました。


一定の地域にオープンダイアローグの理念を浸透させるには、日本は人口が大きく、簡単に職場を変えてしまう文化であることが障壁であると感じました。現地スタッフがおっしゃっていたように、人口が少なく、皆が職場をあまり変えない土地だからこそできていることだと感じました。同じものを日本に導入するのは難しいけれど、オープンダイアローグの理念を日本に合う形を考えていくことは続けたいと思いました。


本を読むだけでは、分からなかったことが理解できました。オープンダイアローグはhow toではなく、哲学だと言われても、本を読むだけではわかりませんでした。しかし、今回お話を聞き、質問を重ねることで、やってはいけないことがあわけではなく、本当に哲学だということが分かりました。そういう意味では、今日本で進めていることも、共通する点があると思いました。


通訳の方が、こんなにも日本語を流暢に使われるとは思っていませんでしたので、驚きました。質疑によってかなり理解が深まったと思いますので、通訳の力は大きかったと思います。


コロナ禍の下、オンラインでのワークショップでした。北欧の風土を感じられるせっかくの機会と思っていたのに残念でしたが、時間や体力を節約でき、しかも自宅でゆったり受講できるというメリットも大きかったと思います。日本に伝わってきているオープンダイアローグが、現在のフィンランドでどのような姿をとっているのか知るのに良い機会となりました。医療をめぐる制度設計が全く異なるため、安易な比較は難しいですし、日本の側の実践・エビデンスを共有していく重要性を改めて認識させられたところです。


医療制度において、日本との違いを強く感じたことは、精神病の捉え方です。経験エキスパートの方々のそれぞれの経験を生で聴けたことは良かったです。ODの中で何が起こっているのかが、体験できたから。
専門職と経験エキスパート(ピアサポーター)のコラボを体験できたことはよかったです。解説では伝えきれない、文脈の中で展開される専門職と経験エキスパートのやりとりから得られる、共同的役割を理解できたから。


 ケロプダス等の取り組み(OD/AD)を日本で応用するには、どのような条件が必要か、考える機会になりました。


個人手配では叶わない企画で、直接現地のスタッフからレクチャーや解説を受けることができること、しかも短時間ではなく丁寧な時間設定で、十分な時間が確保されていた点は、通訳を交えることを鑑みればとても有意義でした。


日本の精神科医療は診断と医療を優先する硬直化した側面があるので、医療そのものに対するやわらかな考え方やスタッフの態度も暖かな印象を受けました。話は論理的でした。

対話の可能性を私たちはどう感じるか
やさしいフィンランドの精神医療に学ぶ

1980年代はじめに、フィンランドの西ラップランド地方にある病院で生まれた精神治療技法の「オープンダイアローグ」は、言葉こそが、現実を構成するという社会構成主義的な信念があり、言葉の回復が重要なカギを成すと言われています。この手法がいま、国際的な注目を集めているのは、急性期の統合失調症患者に対する治療的介入として、ほとんど薬物治療や入院治療を行わずに、非常に良好な治療成績を上げてきた実績があるためです。また、現在では、うつ病やひきこもり、摂食障害や依存症など、さまざまな領域において応用が広まっています。
地元大学の教授は、このオープンダイアローグに関連した研究成果の中で、オープンダイアローグは技術や治療ではなく、「哲学」や「考え方」であることを強調しました。精神科医療の現場に限定せず、教育、福祉、一般の企業の中でも、このオープンダイアローグによる「関係性の修復的対話」が取り入れられ、地域社会の中にも「対話の場」が一層増えてきています。
精神疾患を抱える人の在宅生活を支えるオープンダイアローグの実践現場を視察し、関わる専門職の支援の精神的・文化的基盤や、地域住民にオープンダイアローグの文化がどのように浸透しているのか、そしてまた、その実践の効果を知ることによって、日本の文化基盤にどう適応したオープンダイアローグを普及、発展させる可能性があるのかを考える機会として、この視察研修を企画いたしました。